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イワカミ(磐神)の尾根は、真っ直ぐに磐平峰(糸岳)へと続いていた
まるで巨大な龍の背のような、このイワカミ(磐神)の尾根は、磐平峰(糸岳)を頭とすれば、その口からは糸滝が流れでる
途中の岩の独標の、その砦のような頂点の岩に「鉄心」と刻まれたプレートがありピッケル作りの匠の死を悼み後世にその心を伝えていた。
さらにその奥の独標に辿り着く。
まるで是より先は、神域とでも云わんばかりに5から7mの岩壁が行く手を遮る。
今回の核心部である。
迷いも無く、踏み道を辿る、それは尾根を真っ直ぐ登れと云っている。
左右は、切れ落ちている。
皆さんに手前で、休憩をお願いし、自分は偵察に進む。
うーん、これは・・・
さっきのプレートの場所といい、自分の眼には、確かに「道」が浮かんで観えていたのだが、それが確信に変わるのを覚えた。
いつの頃なのだろか、まったくわからないが、「ここはかつて大勢の山人が通っていたのだ」と心の内で呟くに充分な痕跡を認めることができたのである。
直登した先、岩壁が立ちふさがる、そこには、大した大きさではない岩が・・・。
高さにして1m20~30㎝、幅は1m位か。
そこに行きつくには、道幅が30㎝もない縁を3m位歩くのだが、その下は急な斜面、斜度60~70度位だろうか、落ちたらあっと云う間に姿は消えることだろう。
「まあいいさ、それでも木の根っこにつかまりながら岩に辿りつけるさ」
「不安ならロープを出せばいいだけのこと」
その見事な疣岩は、明らかに無数の山人が足で磨きを掛けてきたことが読みとれる。
一目瞭然なのだ。
「ここを進むのが正解なのか」
しかしその左右は、「落ちたら・・・」
「うーん・・・」と躊躇し、そして結果上がってみた。
その岩上で、可能性を完全に否定し、あきらめが着いた。
道が一瞬無くなる・・・、のに進む。
そうつまり左右が切れたったの岩を、さらに向こうの尾根の岩に飛び移る
つまり空中の道を進まなければならない。
他に、こんな道無い・・・わけでは無い・・・そういう業が必要な道なだけだ。
朽ちた木が掛けられているように感じる。
もしかしたら、過去に誰かが渡したものなのかも知れないが、今はもう役には立たない位置にズレ落ちている。
さて右に巻くか、左に巻くか・・・・。
2万5千(地図)を見ると、コンタ―(等高線)は、右が緩い・・・。
確かに、垂壁ではないのだから、トラバースは可能かもしれない・・・と想えるが、問題は掴まる物と物の間隔が長過ぎるのだ。
右は、かなり道を下降して底部を探るしかないだろう。
しかし裏磐司の上を行くことになる・・・左はどうだろうか。
左に巻いてみる。
おっ・・・木から2本の虎ロープが下がっているようだ。
現場に進むと、腐れてボロボロになった虎ロープが枯れ葉の間にあるのを見つけた。
見上げると、成程、ここに巻いてあっただろうと思われる木がポツンと一本、頼みの虎ロープ今はない。
岩を頼りに、フリーで進んでみる。
危険な断崖部分は、約2m、自分だけななら、このまま進んでしまう。
皆さんも、なんとかなりそうなな感じではあるが
万が一、なんとかならなければ一体何メートルの滑落になるのだろう。
全体として17、8m位、足場の悪い岩場部分は約8m位だろうか、
トラバースでクリア―して進む決断をした。
もちろん、これは想定の範囲。
持参したロープのお世話にいよいよなる。
軽量化の為今回は、20mのロープを持参。
ギリギリの感じだなあと思いつつも、ハーネスを付け、エイト環でセルフで確保しつつ、やや下降しながらトラバースして行く。
終了点近くになって、ほっとするのも束の間、まいった今度は、スズメバチの巣が眼前に来る。
迷った・・・ここが駄目なら、5~7mの岩を登るしかない。
グレードは、フリーで5.8はない・・・かなあ・・・などと想いつつも。
しかたなくさらに下降気味にロープをセットし直しながら進んだ。
結局、20mのロープ長は完全に使い切った。
その地点にちょーど誰かが残置した腐れロープがある、連携する。
無いよりははるかにましだ。
なぜなら「そこで待っててくださいな」などと気楽に言えないような場所なのである。
そのロープを頼りにとにかく安全な尾根に上がるように指示を出す。
皆さんの安全を確認し、核心部を通過出来た安堵の顔を見渡しながら、一息ついたものの
ここからはじまる藪漕ぎに想いは馳しった。
この核心部を越えるのを諦めて引き返した山人の多さを物語るかのように、踏み跡は薄くなってゆく。
そしてそれは同時に、この先が熊の領域であることを物語っている。
実際、2回、いや3回の威嚇を受け去って行くのを待って停滞した。
藪抜けは、1390独標付近、風鳴平からやや右手に抜けた。
直ぐに望洋平に出た。
磐平峰(糸岳)から360度の景色を楽しみタイムUPして来た道を戻り、二口街道(林道)の糸岳登山口へ向かう
風鳴平の直角に曲がる道は、かつてイワカミ(磐神)の上を行き、やがて尾根道に合流する道と、糸滝への分岐でもあったのだと想う。
漠然と、「今度は、かつては幽仙峡であった遊仙峡の廃道を歩くか」と・・・思いを巡らせた。